篆刻の道具と材料
印材あれこれ。写真は高いものでもせいぜい千五百円程度の安価なものです。さまざまな色と形があります。後列の右端は竹、その左はツゲ、それ以外は石印材です。石印材はすべて中国産です。
紐(ちゅう=印のつまみの部分)には伝統的に動物が彫られています。これは印材を作る職人さんの仕事ですのでご安心を。写真の腕が悪くてわかりにくいですが、中列の右から馬、象、山羊、前列の右から猿、獅子、龍、亀です。龍や獅子が一般的なのですが、ちょっと変わったものを集めてみました。
石印材は高級なものになるとそれ自体を鑑賞するようなとても綺麗なものもありますが、値段もとても高くて、収集と愛玩という方向の趣味になってしまいます。
印刀、あるいは鉄筆と呼ばれる道具。これで印材に文字を彫るわけです。もっと太いものもあります。手前二つは平たく、奥のものは丸い断面の印刀です。私は奥の丸いものを愛用しています。これらも数百円程度の安いものです。
印床と呼ばれる道具。このように印材を固定して彫りやすくします。ただし、彫ろうとする印の大きさや字の細かさ、あるいはその人の流儀によって、手で持って彫る場合もあります。これはくさび式ですが、ネジ式のものもあります。
左は印矩と呼ばれる道具。印を捺すときにずれないようにする木製のガイドです。
右は印泥。日本では印肉と呼ぶことが多いですが、日本製のものは色が安っぽかったり捺した後から油が滲んだりしてあまり質がよくありません。写真は中国製で、二千円程度の安価なものです。やはり高価なものほど深く魅力的な色合いを持っていますが、まぁ、腕相応ということで。
右端のヘラは印泥が部分的に固まってしまわないように練るためのものです。
このほかに必要なものには…
- 字書…篆書などの日頃なじみのない字体を使う場合、字書で本来の字形や伝統的に篆刻で使われてきた字形を調べて、誤りのないようにします。
- 紙やすり…印材の印面を平滑に整えるのに使います。
- 筆と墨と朱墨…印面に墨を塗った上に朱墨で字入れをし、それにしたがって彫っていきます。