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続・奴隷商人ライブネクスト

煉獄の戦乙女


登場人物一覧

藤沢聖美 ごく普通のコスプレ少女。愛らしい顔と少し肉付きの良い肢体を持つ。加藤真実という恋人がいる。
加藤真実 聖美の恋人。無駄のない体つきをした青年。
須藤 謎の男達のリーダー格。体格がよく、低い声で相手を威圧する。
日吉 ゴリラ並の体格を持つ。見た目通り力が強く、身体も頑丈なボディーガード。
高江洲 もと医師を目指していた男。女性の身体の構造を知り尽くし、内部から奴隷化する。
飯島 謎の男。高い知性を持つ参謀役。女言葉でしゃべる男。
みなみ 偶然から、真実と知り合った少女。肩の辺りに切りそろえた髪型、背の低い少女。
北郷良治 聖美のマンションの隣に住む住人。引きこもりのダメ人間だが、彼の行動が新たな火を呼び起こす……。

第三話 狂気噴出

『でも、あの……』
「でもじゃねぇんだよ! もう一週間も連絡なしで、連絡ついたと思ったら金がないだと? 借りたものは返すのが当然だろうが!!」
『はい………でも、でも……』
「でもじゃねぇんだ。とにかく一回店に来い。話はそれからだ。いいな?」
『あの、必ず返しますから、あの……』
「当たり前だ! とにかく店に来い。何時に来れるんだ?」
『あ……あ……い、今から……行きますから……』
「よし、すぐに来い、わかったな!!」

 受話器を叩きつけるようにして電話を切ると、日吉は大きく息を吐いた。
 メモ帳を手に取ると、名前の欄に日付を書く。

「日吉さん、アレはもうダメですね。沈めますか?」
「そうだな……」

 別の男が差し出してきた書類を手に取ると、彼は視線を書類に走らせる。

「八王子の西ですが……どうします?」

 その名前のところを見ると、すでにもう4つの日付表示が記されている。性別のところはM……男性を意味するイニシャルだ。

「……女関係は?」
「そうですね、今のところ恋人と思われる女性が一人、出入りしているようです」
「他には? 妹だの母親だのはいねぇか?」
「はい、どうやら完全に天涯孤独のようですね」
「よし、女のガラを押さえろ。お前に任せる」
「はい」

 日吉が書類にサインすると、男に渡す。また一人、哀れな犠牲者が『ライブネクスト』の性奴隷の候補として連れ込まれてくるのだろう。

「……で、日吉さん、太田の方はどうします?」
「あれだけ脅しいれといたんだ。まぁ来るだろう。来たらもう返すな」
「解りました」
「部屋は一番奥がいい……」

 ふと、日吉が彼の『職場』の入り口に目をやると、飯島の姿が見えた。
 何人かが露骨に緊張しているのが目に見える。

「………俺は少し出る。太田と西の件は、終わったらすぐに報告しろ」
「解りました」

 男は深く頭を下げると、ロッカーから日吉のコートと鞄を取り出す。日吉がそれを手に取ると、大股で室内を横切って入り口へと向かう。

「お疲れさまです!!」

 電話中の者をのぞき、全員が立ち上がって日吉に頭を下げる。手を挙げて応えると、日吉はそのまま飯島のところへと足を運んだ。

「……どうした、飯島?」
「相変わらず統制の取れた良い部署ね。うらやましいわ」
「用件はなんだ?」

 飯島の追従に耳を貸さずに、日吉はぴしゃりと言う。
 鼻白んだ風もなく、飯島は一枚の紙片を差し出す。

「……北郷良治?」
「ええ、真実君と聖美ちゃんの愛の巣の隣に住んでいる男よ」
「ほう。……で?」
「少し必要になるの。用意してくれる?」
「どのくらい?」
「300もあればいいわ」
「わかった。……他には何が要る?」
「そうね、また『薬』の材料が欲しいって言ってたわ、高江洲が」

 日吉が口元をゆがめると、もう一枚の紙片を飯島から受け取る。

「……用意するよ。全く金のかかる道楽だな」
「そうね」

 二人がビルを出ると、白いメルセデス・ベンツの後部座席に並んで座る。
 
「怪我の方はいいの?」
「ふん、怪我のうちにもはいらんさ、あんなもん」

 車が発進する。日吉が行き先を告げると、飯島は懐から煙草を取り出して火を点ける。
 日吉が窓を開けると、外の囂々という音が車内のエンジン音を圧倒した。

「……で、いつ必要だ?」
「明日」
「わかった。石井に持たせる」
「お願いするわ」

 車は加速すると、目的地へと向かう。
 日吉は、今日検分するであろう、性奴隷の調教成果を示すファイルを開いた。


 北郷良治は、メールの内容を見てため息を吐いた。
 彼の書いた小説が、驚くほど多くの人の心を捉えたのだ。……少なくとも彼にはそう感じられた。
 賞賛と感嘆のメールの数々。MTKと名乗る人物が、彼の小説を賞賛してからというもの、多くの人間が次々と彼に惜しみなく賞賛の言葉を贈ってきているのだ。

「……MTKさんか……」

 うっとりと画面の中の文章を眺めながら、北郷はキーボードを叩く手を早めた。
 彼の小説は、生々しいリアルな描写が素晴らしい、まるでその場にいる女性が本当にいたぶられているのを見るようだ、とまで書かれている。
 その全てが高江洲の手によるものだが、北郷にはそれが全く解らない。
 
 そのうちの一つのメールが、彼の関心を引いた。
 もちろんそれも高江洲の手によるものであるが、やはり北郷はそうと知らずに中を読んでいく。

『素晴らしい描写力ですね。何回もその小説でヌいてしまいました。こんな事は今までなかったです。ところで、妙に実践的な部分があるんですが、やっぱりノーザンライトさん、恋人を相手にあんなことしてるんですか? うらやましいです』

 ノーザンライト、とは彼のペンネームである。
 にんまりと笑う。もちろん、彼には恋人など居ない。全ては彼の妄想を文章化しただけのものなのだ。
 だが、彼のプライドはそう正直に答える事を許さなかった。
 彼は返信のボタンを押すと、キーボードを叩き始めた。

『感想ありがとう! その通りです。うちの彼女は結構好き者で、かなりハードな事をしてもその後たっぷりとサービスすれば許してくれます。僕のテクニックはかなりイイらしくて、それさえあれば何をしてもいいと言ってくれてます………』

 一通り書き終えると、送信ボタンを押す。大量に転がったエロ本やポルノ小説、アダルトビデオなどをかき分けると、彼は気に入ったビデオをデッキに挿入して再生ボタンを押した。
 
 ……そのメールは、巡り巡って高江洲のところへと帰ってくる。
 彼の予想通りの返答に満足すると、いよいよ仕込みに入る。
 
 飯島は言った。
 北郷は存在自体が無意味な男だ、と。室内を監視カメラで見たが、生きているのが不思議なほどに荒れた部屋だった。だが、その部屋は彼にとっては『城』なのだろう。

 聖美はライブネクストから逃げ出し、真実はライブネクストに楯突いた。
 この二人には、痛い罰を下してやらねばならない。そのための一つの手段として、飯島は北郷を使う事にしたのだ。
 分不相応にも、この北郷という男は聖美に懸想しているらしい。
 それなら……幾らでも手はある。

『ノーザンライトさんの最近の作品は、少し冒険が足りない気がします。せっかくいろんな事が実践出来るんなら、もっとハードなことをして貰いたいなぁ。そうですね……』

 いくつか、彼の用意した調教メニューを書き記す。同時に、別のメールアドレスからは違う内容のメールを送る。

『どうせ彼女もいない、引きこもりの妄想だろ? くだらねぇ。居るって言うなら証拠に写真でもアップしてみせろよ』

 もし高江洲がこんな煽りを受けたところで鼻で笑って無視するだろう。だが、北郷は……そこまでクレバーとは思えない。
 同じように煽りと賞賛を半々にして、また数十通に及ぶメールを送信する。
 これは仕事だ、と解っていながら、彼の口元には苦笑いが浮かんでいた。
 
 彼は自分の知性には自信があった。彼が描いた絵図の通りに踊ってくれるこの男を見ていると、その愚かさ加減に思わず口元が歪んでしまうのだった。
 
 日吉がビルに戻ると、男が二人、頭を下げて出迎える。
 鞄とコートを男達に渡すと、彼は大股で自分の『オフィス』へと足を運ぶ。
 オフィスに入ると、出ていったときと同じように全員が起立して彼を出迎える。

「……西の女ですが、ガラを押さえました」
「うむ」
「で、太田ですが、まだ店に来てませんね」
「………ほう」
「今石井と藤田が向かってます。そのままガラを押さえさせますか?」

 日吉が頷くと同時に電話が鳴る。

「日吉だ」
『お疲れさまです、石井です。太田を押さえたんですが……』
「……どうした?」
『危ないところでした。このアマ、夜逃げ屋を頼んでたみたいです』
「……どこの夜逃げ屋だ?」
『解りません。夜逃げ屋の方は俺達を見て一目散に逃げましたね。女の方は逃げ損ねてやけになってたんで、眠らせてます』
「わかった。引っ越し屋をそっちに回す。逃げられないように箱詰めにでもしておけ」
『解りました』

 電話を切ると、日吉は目の前で立っている男に怒鳴りつける。

「ぼやっとしてるな!! 引っ越し屋を仕立てて石井と藤田のところへ行かせろ!」
「はい!」

 飛び上がった男が、手近な電話に飛びついて手配する様を眺めてから、日吉はゆっくりと部屋を出た。
 彼自身の居室をかねた部屋にどっかと座り込むと、棚からアンプルと注射器を取り出す。
 
 ややあって、インターコムがブザー音を鳴らす。

「……日吉だ」
『西の女を連れてきました』
「よし、通せ」

 彼が扉を開けると同時に、目隠しされた女が男達に抱えられるようにして入ってくる。

「…………」
「…………」

 目隠しをとって日吉は女をじっと観察した。西はどうしようもない男で、自分を管理することもできない、社会不適合者だった。
 その恋人である彼女は、色白な、そこそこ美形といえる女だった。町に出れば、五人に一人ぐらいの割合で出会えるような女だが、地味な衣類と、それにあわせた少しのアクセサリーが好印象を与える。
 眦は下がっており、おっとりした印象をあたえるだろうし、ほんの少し、気持ち程度に施された化粧から、遊びをあまり知らない、純朴さをイメージさせる。

 その彼女は、じっとにらむような目つきで日吉のほうを見ている。
 口元と、頬にかすかな痕が残っている。彼の部下の誰かに殴られたのだろう。
 
 一枚の免許証を男が差し出す。それは、目の前の女性のもので、角倉亜里沙、と書かれていた。
 
「ありさ……たぁな、またハイカラな名前だな」

 日吉が笑う。と、亜里沙が口を開いて、先制攻撃に出る。

「あなたたち、亜里沙を家に帰してください」
「ほう?」
「いったい何の恨みがあってこんなことをするんですか? 亜里沙は、あなたたちのことなんて知らないです」

 一人称に自分の名前を呼ぶ女は始めてだ、と日吉は心の中で独りごちた。

「いいだろう、説明しよう。君は西知明君を知っているね?」
「は、はい………?」
「その彼が、実は借金を踏み倒そうとしているのはご存知か?」
「そっ、………そんな………っ!!」
「知らなかったか、それはご愁傷様だ。そんなわけで、そのカタとして、君はここにいるわけだ」
「………違法ですっ!」
「百も承知さ」

 日吉がそう言うと、亜里沙の肩に手をかけ、抱き寄せる………というより、むしろ掴み寄せる。
 亜里沙の全身が大きく粟立ち、日吉の腕の中でがたがたと震え始める。

「……立場を理解してもらおう。わずか150万の借金のために、君は二つの役割を果たさなくてはならない。借金の代価としての役割、そして………」
「………」

 おびえきった亜里沙の目を見下ろしながら、日吉は心の底から喜びを感じていた。
 その歓喜は、今まで苦しみも苦悩も知らなかった、無垢なる魂を、彼自身の絶望の色に染め上げることができる……ということに対する歓喜だった。

「……もう一つの役割は、見せしめだ。借りた金を返さないとどういうことになるか……君を使って、その結末を映像として残すのさ」
「………っ!!」

 亜里沙が、逃れようと身を捩る。だが、日吉の膂力の前では彼女の力など赤子同然だった。

「いや……いやっ!!」
「押さえつけろ! あと、薬を打っておけ」
「はい」

 数名の男たちが、暴れる亜里沙を押さえつける。別の男がビデオカメラを抱えて走ってくると、日吉は男に向かってあごをしゃくった。
 
「カメラはそれだけか?」
「あと一台が既に撮影してます」
「もっと撮れ。西のやつがオナニーに使えるようにな」

 男達の笑い声がさざめく。
 暴れる亜里沙を押さえる男たちは、一枚また一枚と衣類を剥ぎ取っていく。中の数枚は、剥ぎ取ろうとする時に、びりびりと音を立てて破れてしまうものもあった。

「いやあっ!! た、助けて、誰かっ!!」
「やかましい!!」

 錯綜する絶叫。声が外に漏れることはありえない。あとは………。

「……退け」

 日吉の声とともに、男達が少し離れる。カメラが、亜里沙の顔を映し続けている。
 地味なワンピースは上半身が引き裂かれ、上半身をデスクに押し付けられた状態で、亜里沙はすでに身動きが取れないほど強く押さえられていた。
 黒いストッキングが所々やぶれ、白い脚がやけに艶やかに見える。

「いい尻をしているな……。どれ」

 ワンピースのスカート部分に隠れた尻が、フルフルと震える。逃れようとする努力は一瞬とてやむことはなかったが、到底成功するとは思えなかった。

「……誰かたす…………けて………お……お願い……します………」

 弛緩剤を打たれ、徐々に力が入らなくなってきた手足をふるわせて亜里沙は懇願する。
 尻を撫で回され、屈辱的な姿をさらし、両足はスカートのすそが許す限り開かされている。
 時折、手がスカートのすそから入ってきては、無防備な内股をさすっていく。その感触の悪さに、彼女はとうとう涙声で哀願を始めた。

「いや……いやあ……お願い、亜里沙を……帰らせてください……」

 だが、日吉は冷たく言い放つ。

「……それはできない相談だな」

 スカートを捲り上げ、ストッキングとパンティを一気に引き降ろす。つるんとした、尻肉が外気に触れ、すっと赤みを増していく。

「おい、適当にほぐしてやれ。でないとお前たちまで回らないぞ」
「………っ!!」

 その言葉に戦慄するまもなく、男たちは亜里沙の体をいっせいにいじり出した。あるものはすでにむき出しになった乳房を、乳首を、指と手のひらでもてあそび始める。
 別の男は、内股に舌を這わせ、またあるものは無遠慮に亜里沙の秘所を指でいじり始める。

 日吉はといえば、ローションの瓶を手にとって、逸物の上に惜しみなく振り掛けていた。

「よし、どけ」

 わずか一分程度で、男たちは亜里沙の身体から引き離される。男の唾液が秘所から内股へと伸びている以外には、彼女のからだにたいした変化は訪れていない。

「ろくに濡れてねぇな。……壊れるかどうか微妙だな」

 いいながら、日吉は亜里沙の秘所へと逸物をあてがう。ローションのたっぷりかかった逸物は、最初亜里沙の秘所の入り口ではばまれる。
 無理もない。逸物の大きさは、亜里沙の腕の一番太い部分ほどもあり、秘所の二枚貝はたちどころに引き裂かれ、肉襞を削りながら彼女の身体を真っ二つに引き裂いていった。

「ぎゃああああああああああああああああっ!!!!」

 上半身が激しくのたうつと、亜里沙の手足が力無くばたつく。
 彼女の手足を押さえている男達は、弛緩剤の効果に感謝した。この苦痛を味わった女が、もし本当の力で暴れることが出来たらおそらく無事では済まないだろうから。
 膣の内壁が苦悶に歪み、巨大な日吉の逸物を包み込んでざわざわとなぞる。その感触のよさが、日吉の口から小さなうめき声となって零れてくる。

「ふ……悪くない。締まりはなかなかのもんだ」

 カメラに向かって、口元を歪めたまま、日吉がつぶやくようにいう。
 その日吉の顔を映した後、カメラは再び亜里沙の表情を映す。ファインダーの中で、ただ悪夢のような拷問に耐えている女の姿が、日吉の律動にあわせてなすすべもなくゆれていた。

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